情報 サンプル問題解説(令和7年度大学入試共通テストからの出題教科・科目)

2021年5月1日公開

報 サンプル問題について

 令和7年度大学入学共通テストから出題予定の情報科。いったいどんな問題が出題されるのだろうと思っていると、2021年になってそのサンプル問題・解答が大学入試センターのWebで公開されています。( ◇大学入試センターWeb: 
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_jouhou/r7ikou.html )

 すでに教科書会社などが解説動画( ◇日本文教出版 共通テストサンプル問題解説動画 https://www.youtube.com/watch?v=sMxwuOxjktQ )を公開していますが、自分で問題を解いて、大学入試赤本風の解説を書いてみました。
第1問 解説災害時の通信について

問1(コンピュータネットワークの仕組み)

ア・イ②・③が正解。問題文に「回線交換方式と違って」とあるので、インターネット回線の通信方式であるパケット交換方式の特徴とを比較すればよい。

回線交換方式では、通信の開始から終了まで回線を占有するので他者がその回線を利用できない。これに対しパケット交換方式では、データを小さな単位に分割し、それに宛先や送信元のアドレス・順序などの情報を加えたパケットを送信する。途中でデータが欠落しても再送されるので②は正しい。また回線を占有せず、同時に複数の利用者が回線を共有することができ利用効率が良いので③は正しい。⓪は予約不要なので誤り、①は一度に送出しないので誤り、④は回線を占有しないので誤り。

③が正解。情報格差とは情報技術が利用できる人とできない人との格差であり、国家間(先進国と途上国)、地域間(都市部と地方)、貧富の差、年齢(高齢者現役世代)、障がいの有無などがその要因となるので③が正しい。

③が正解。クラウドサービスとはコンピュータネットワークを利用して別のコンピュータに接続しサービスを提供する形態であるので、機器を自ら設置する必要がない。⓪は、データはネットワーク上のコンピュータに存在するので誤り。①も拡張はネットワーク上のコンピュータで行う必要があるので誤り。②のサーバをネットワークに接続するのはクラウドサービス提供事業者なので誤り。

問2(情報デザイン)

①が正解。「クラス全体」という集合を、「電車利用」「バス利用」「自転車利用」という小さな集合に分類し、かつ小さな集合同士の重なりもあるので①のベン図が適している。

⑤が正解。Plan」「Do」「Check」「Action」といった流れで表現とあり、これらは何度も繰り返されるものなので、⑤の循環図が適している。

が正解。5万円以上・以下」「1kg以上・以下」という二つの要素の組み合わせで分類するので、②の2つの要素を縦軸と横軸に配置し整理するマトリックス図が適している。

問3(デジタル化)

⓪ ケ―①が正解。アナログデータのデジタル化では、データを一定の間隔で区切り(手順1・標本化)、次に区画のデータをルールに従い整数値に置き換える(手順2・量子化)、最後に整数値を2進法で表現する(手順3・符号化)手順をたどる。

⓪が正解。デジタルデータの特徴として、ノイズに強く複製しても劣化しないことや、修正や編集など加工しやすいこと、音・画像・文字などの情報を統合しやすいなどの特徴がある。よって⓪が正しい。①はラスタ方式や解像度が低い画像を拡大するとギザギザが表れるので誤り。②の圧縮方式には可逆圧縮と非可逆圧縮があり、後者は元の画像に戻すことができないので誤り。③は著作権侵害となるので誤り。

問4(IPアドレス)

―8が正解。2IPアドレスではネットワーク部が2進法24桁=24ビット、ホスト部に割り当てられているのは2進法8桁=8ビットなので8が入る。

シス―16が正解。先生の説明から空欄「シス」にはネットワーク部に割り当てられるビット数が入ることがわかる。Kさんの説明(256×256)からローカル部は8ビット×216ビットが割り当てられることがわかるから、IPv4全部で32ビットからローカル部16ビットを引いた、16ビットがネットワーク部に割り当てられることがわかる。

セソ―18が正解。ネットワーク部のビット数を求めるには、二つのアドレスを2進法に直し共通する桁数=ビット数を求めればよい。双方最初の16ビットは「172.16」で共通なので、その次の「129」「160」を2進法に直して、共通する桁数を求めればよい。それぞれのIPアドレスを2進法で表記すると下のようになるので、下線を引いた上位18桁=18ビットが正解となる。

 172.16.129.1 →2進法 10101100. 00010000. 10000001.00000001

 172.16.160.1 →2進法 10101100. 00010000. 10100000.00000001


第2問  解説≪比例代表選挙の当選者数を計算するプログラム≫

問1

ア―③が正解。最初のKさんMさんの会話文とプログラムがどう対応しているかを照らし合わせながら考えればよい。

プログラム05~07行目は会話文の「得票の総数を議席数で割る・・これを基準得票数とよぶ・・・」が対応する。これに、それぞれ総数=sousuu、これを求めるための各政党の得票数=tokuhyo、議席数=giseki、基準得票数=kizyunsuu、という変数を割り当てている。

プログラム06行目では、表の総数(sousuu)を求めるために、各政党の得票数=tokuhyoのm番目に格納されている数値を順番に加えて求めているので、mには0~3の数字が入ることがわかる。ちなみにtokuhyo〔m〕とは配列tokuhyoの中のm番の数値(例えばtokuhyo〔0〕ならtokuhyoの中の0番の得票数=1200)を指している。

⑧、ウが正解。プログラムの1011行目を、会話文と対応させると「各政党の得票数をこの基準得票数で割る」が該当する。よってイ・ウには各政党の得票数=tokuhyom〕を基準得票数=kizyunsuuを割るので、それぞれ⑧、ⓑが入る。

問2

図7の手順を実行しながら、図8の変化を対応させて確認すればよい。

手順としては、まず配列Hikakuの数値から最大の数値=Hikakumaxi〕を見つける。1回目ではHikaku2〕=1440が該当する。次に配列Tosenの中の対応するTosenmaxi〕の値に1を加えた数値に置き換える。1回目ではTosen2〕を01を加えた数値=1に置き換える。

次にもとの政党の得票=Tokuhyoの中の対応するTokuhyomaxi〕を、Tosenmaxi〕の値に1を加た数値で割った数値で、Hikakumaxi〕の値を置き換える。1回目ではTokuhyo2〕=1440Tosen2〕=11を加えた2で割って、Hikaku2〕をその数値=720に置き換える。

b ケ①が正解。2回目の最大数値はHikaku0〕=1200となるので、対応するTosen0〕に1を加え、次にTokuhyo0〕=1200Tosen0=11を加えた2で割って、Hikaku0〕をその数値=600に置き換える。配列HikakuTosenの他の数値は変化しないので、エ720、ケ―①1と前の手順後のままの数値が入る

⑨ コ―②が正解。3回目はHikaku2〕=720が最大値になるので、Tosen2〕=11を加え、Tokuhyo2〕=1440Tosen2〕に1を加えた数値(2+1=3)で割った値(1440÷3480)で、Hikaku2〕を置き換える。よってオ480、コ―②2が正しい。

カ―⑨ キ―⑨ サ―② シ―②が正解。4回目はHikaku1〕=660が最大値になるので、Tosen1〕=01を加え、Tokuhyo1〕=660Tosen1〕に1を加えた数値(1+1=2)で割った値(660÷2330)で、Hikaku1〕を置き換える。5回目はHikaku0〕=600が最大値なので、Tosen0〕=11を加え、Tokuhyo0〕=1200Tosen0〕に1を加えた数値(2+1)で割った値(1200÷3400)で、Hikaku0〕を置き換ええる。よってHikaku2〕、Tosen2〕は変化しないのでオ・コと同じ数値が入る。

ク―⑦ ス―③が正解。6回目はHikaku2〕=480が最大値なので、Tosen2〕=21を加え、Tokuhyo2〕=1440Tosen2〕に1を加えた数値(3+1)で割った値(1440÷4360)で、Hikaku2〕を置き換える。よってク―⑦360 ス―③3が正しい。

問3

②が正解。3のプログラムは、問2で扱った図7の手順をプログラムにしたものであるので、手順を対応させていけばよい。プログラム08行「(セ)<gisekiの間繰り返す」とあるので、どのような条件まで繰り返せば考えればよい。

7の手順4に「手順2と手順3を当選者の合計が議席数の6になるまで繰り返す」とあるので、これに対応するプログラムであることがわかる。つまり当選者の合計=tosenkeiが、議席数=gisekiに達するまで繰り返すので、(セ)には②tosenkeiが入ることがわかる。

②が正解。0913行のプログラムは、図7手順2の「配列Hikakuの要素の中で最大の値を調べ」の部分に対応する。11行から12行はその方法の記述で、Hikakui〕が現在の最大値〔max〕より大きければ、最大値〔max〕をHikakui〕の数値に置き換え、配列Hikakuの次の数値と比較し同様のことを繰り返しながら最大値を求める手順をとる。(ソ)は下線部の手順にあたるので ②maxHikakui〕 が入るとわかる。

③ チ⑧が正解。16行目のプログラムは、図7手順3の「Tokuhyomaxi〕をTosenmaxi+1で割った商をHikakumaxi〕に格納する」に対応する。ゆえにタ―③Tokuhyomaxi〕、チ―⑧(Tosenmaxi+1)が入る。

ツ―⓪ テー⓪が正解。候補者が足りなくなった場合の対応なので、最大値を探す条件に、最大値となる政党の当選者が増えた場合の人数=Toseni+1 が候補者=Kohoi より同じか少ないことを条件に入れればよい。両方が成り立つことが必要なので ツ―⓪and が入り、テには ⓪Kohoi>= Toseni+1 が入る。

第3問 解説≪データサイエンス≫

問1a

⓪ イ―③が正解。1の相関係数あ~かの決勝進出の数値に注目する。相関係数は01で表され、1に近づくほど相関が高い。一方が増えるともう一方が一定の割合で増える相関を正の相関、一方が増えるともう一方が一定の割合で減少する相関を負の相関という。

問題文から「予選敗退チームにおいてはほとんど相関がなく」=相関係数が0に近い、「決勝進出チームについて負の相関がある」=相関係数がマイナスでより絶対値が大きいものを探せばよい。答えは「う」となるので、1試合当たりの「⓪得点」と1試合当たりの「③反則数」の組み合わせが正しい。

ウ―③が正解。次もまず相関係数あ~かの数値に注目する。問題文に「決勝進出チームと予選敗退チームとで、相関係数の符号が逆符号であり、その差が最も大きくなっている」とあるので、あてはまるものを探せばよい。答えは「え」となる。「え」は1試合当たりのショートパス本数と、1試合当たりのロングパス本数の組み合わせなので、同じ組み合わせの散布図をA~Fから探せばよい。「え」に対応する散布図はDとなるので、「③D」が正解。

問1b

②が誤り。相関係数あ~かに注目し、「全参加チームが正の相関」かつ「決勝進出チーム・予選チームのいずれも負の相関」の数値はの組み合わせは存在しないので誤り。そもそも決勝院出チーム・予選敗退チームのいずれも負の相関であれば、その集まりである全参加チームも負の相関を示すので、こちらからも誤りと解る。

⓪は、相関係数「え」=散布図「D」に注目すると、予選敗退チームは正の相関であるから右上がりの分布、決勝進出チームは負の相関であるから右下がりの分布となるはずである。ゆえに黒い四角形が決勝進出チーム、白い四角形が予選敗退チームとわかる。

①は、相関係数あ~かの全チームの数値に注目し、最も強い相関=相関係数が1に近いものを選べばよい。こたえは「あ」となるので、文章は正しい。③は、ヒストグラム①に注目し、決勝進出チームの方が予選敗退チームより、1試合当たりの得点が高いことが想像できるから、ヒストグラム①~④で下の方が決勝進出チームのヒストグラムであることがわかるので正文。

問2

オカ16が正解。双方の回帰直線の式に注目し、問題文に「100本にき・・・得点増加数」とあるので、x=100として比べればよい。得点増加数なので双方の式の傾きを計算すると、決勝進出チームの得点増加数は0.008×1000.8、予選敗退チームの得点増加数は0.0064×1000.64なので、差は0.80.640.16となる。

4が正解。ショートパス320本の時に予測できる得点なので、双方の式にx=320を入れて計算して比べればよい。決勝進出チームの得点y=0.008×3201.43071.12931.13、予選敗退チームの得点y=0.0064×3200.95671.09131.09。これら得点の差を求めると1.131.090.04となるので、4が正解。

クケ56が正解。決勝進出チームがショートパス384.2本の時の予想得点y0.008×384.21.43071.64451.64なので、実際の得点との差は2.201.640.56となる。

問3

コ・サ⓪・③が正解。⓪の四分位範囲とは第1四分位数と第3四分位数の範囲である。決勝進出チームのロングパス本数の範囲は103.592.2511.25、予選敗退チームの範囲は98-87.6710.33となり、予選敗退チームの方が小さいので正文。③の1試合当たりの反則回数の標準偏差を比べると、決勝進出チームが0.82、予選敗退チームが0.78となり、決勝進出チームの方が散らばりが大きいので正文。

①の中央値は第2四分位数と一致する。ゆえに決勝進出チームの1試合当たりのショートパスの中央値と平均値は336.88345.76、予選敗退チームは266.83263.33となり、決勝進出チームは平均値の方が大きいので誤り。②で、決勝進出チームの1試合当たりのショートパスの第1四分位数は321.82、予選敗退チームの中央値(=第2四分位数)は266.83となり、後者の中央値の方が大きいので誤り。④の1試合当たりの反則回数で、予選敗退チームの第1四分位数が2.58、決勝進出チームの中央値(=第2四分位数)は2.40なので、後者の中央値の方が大きいので誤り。

問4

③が正解。1の④のヒストグラムで、上が予選敗退チーム、下が決勝進出チームというのは問1ですでにわかっているので比べれば正文とわかる。

⓪は表21試合当たりの反則回数の最大値に注目すればよい。決勝進出チームの最大値が4.5に対し、予選敗退チームの最大値は4.67なので、最大値は決勝進出チームではないので誤り。

①は、1試合当たりの反則回数と1試合当たりの得点の相関を見るので、図1の相関係数「う」の全参加チームの数値に注目すればよい。相関係数は-0.398と負の相関にあるので「正の相関がある」は誤り。②は、①と同様に図1の相関係数「う」の予選敗退チームと決勝進出チームの数値に注目すればよい。それぞれ0.047-0.597なので、「それぞれ負の相関がある」は誤り。

⑥が正解。文章「決勝進出チームのうち1試合当たりの反則回数が全参加チームにおける第3四分位数を超えるチームの割合は約19%」とあるので、決勝進出チーム16チームの19%にあたる数値を求めればよい。16×0.193.043 なので表中のQ3を超える決勝進出チーム数は3とわかる。表よりQ3を超える全チーム数は7なので、Q3を超える予選敗退チーム数「ス」は734となる。

セソ75が正解。文章「1試合当たりの反則回数がその第1四分位数より小さいチームの中で決勝進出したチーム」を求める。まずQ1未満の決勝進出チーム数は、表の全参加チーム数から予選敗退チーム数を引けば求められる。よって826となる。第一四分位数の中で決勝進出したチームの割合なので、6Q1未満の決勝進出チーム数)÷8Q1未満の全参加チーム数)=0.75となり、75%が正解となる。

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